形状記憶合金をマイクロアクチュエータに応用するためには応答性が高く、かつ冷却速度が大きい試料が要求されます。急冷凝固法を他の作製方法と比較すると、加工が困難な合金においても作製が可能であり、その組成制御も容易で作製コストも安いなどの利点があります。
当研究室では厚さ15ミクロンのTi-Ni二元合金および第三元素を添加した形状記憶合金薄帯 (リボン) の作製に成功しました。また、これらのリボンは非常に良好な形状記憶特性を示し、7%近い最大回復歪みが得られることがわかりました。
これらのリボン材では通常のバルク材では見られない非平衡相の析出物が存在しており、これが形状記憶特性を大きく改善させる要因であると考えられます。加えてリボン材には強い繊維集合組織が存在するため、試料表面に変態歪みの異方性がなく、マイクロアクチュエータの設計が容易であると思われます。