エアギャップ型集積化バイオセンシングシステム
現在一般的に使用されている血液成分分析装置は、比較的大型で備え付けのものがほとんどである。これに替わる物として、微小化学分析システム(m-TAS)の実現が望まれており、これに応用するためのマイクロセンサの研究が盛んに行われている。本研究では、応答速度や感度低下の要因となるガス透過性膜を用いないエアギャップ型の微小アンモニアガス電極を作製し、血中アンモニア濃度の迅速な測定を目指した。さらに、このアンモニアガス電極を変換素子としたクレアチニンセンサ、尿素センサを作製し、これらの集積化も行った。
試料溶液のpHを変化させることで生じたアンモニアガスが、空気層を通って測定電極の電解液中に浸透しpHを上昇させる。このpH変化はアンモニア濃度に依存し、検量線は20 mMまで良い直線性を示した。
また、血中成分であるアンモニア、クレアチニン、及び尿素の同時測定を行った。各測定電極電位の差分をとることで、測定電極間のクロストークの影響を抑え、3物質混在下でも個々の物質に対する応答のみを検出することができた。
a) 測定デバイスの全体図
b) 差分測定の仕組み (fig a X-X’)
[参考資料] Hiroaki Suzuki and Yasuaki Matsugi “Integrated microfluidic system for the simultaneous determination of ammonia, creatinine, and urea.” Sensors and Actuators B: Chemical, Volume 108, Issues 1-2, 22 July 2005, Pages 700-707