ケモセンサーとして働く金属錯体

−外部環境に応じて光り方が変わるピンサー型錯体−


ある特定の金属イオンや有機分子を、発光を用いて選択的に検出できる光学センサーは、環境中の有害物質や金属イオンの検出・回収に役立つとともに、生体内で用いた場合には、生理活性物質の動的挙動を直接観察できる発光プローブとしても有用です。私たちは、チオアミドの配位能を利用したピンサー型金属錯体や重金属捕集剤の開発と機能評価を進めています(参考1)。これらの研究において、チオアミドの反応性を利用した新たな配位子設計を行い、外部環境に応じて光り方の変わるりん光発光性ピンサー型白金錯体が得られました。






第2級チオアミドはソフトな金属に対して配位能を有するだけでなく、アミドに比べて酸性度が高く、NH部位の陽子供与性が高い化合物です。そのため、ピンサー型金属錯体に第2級チオアミド基を組み込むことによって、C=S部位を遷移金属に対する配位部位として、NH部位を外部環境に対するアンテナ部位として働かせ、外部刺激・外部環境に応答して発光特性を自在に制御可能な環境応答型機能性錯体の構築が可能となります。

今後は、さらに種々の置換基などを導入することにより、多彩な発光色を示すケモセンサーの構築を進めます。

研究内容
TOP