6.超分子化学の特長を活かした機能性分子の開発

 

超分子化学では、水素結合、配位結合、ファンデルワールス力、π-π相互作用などの弱い相互作用によって分子を秩序立てて集合させることを対象としています。この弱い相互作用を巧みに操る点が超分子化学の特徴であり、強力な共有結合によって分子構造を構築していく有機化学や高分子化学とはこの点で大きく異なります。超分子という言葉は、高分子に比べると一般的ではなく、“弱い”相互作用が何かを創り出すというのはイメージが沸きにくいかもしれません。しかし、身の周りにも数多くの超分子と密接に関連したものが存在します。例えば、分子量18の水が100 ℃まで気体にならないのは、水素結合によって連結されているためです。分子量28の窒素分子()の沸点が-196 ℃であることから考えても、水素結合という相互作用が重要な意味を持っていることが分かります。またDNAが規則的な二重らせん構造を構築するのも、水素結合とπ-π相互作用が効果的にはたらいているためです。これらの相互作用によって分子を規則正しく、狙った通りに集合させることができれば、無秩序に集合した時とは異なる特性が出ることが期待できます。当研究室では、超分子化学の特長を活かして分子が持っている発光や導電性といった機能を最大限に引き出す研究を行っています。

 

 

 

導電性を示す超分子ポリマーフィルム 

外部からの刺激で発光色が変化する白金錯体 

水素結合を利用したDNA模倣分子の開発 


研究内容

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