アズレン部位を有するピンサー型錯体の合成

アズレン(azulene)は炭素と水素のみからなる単純な組成を持っていますが、スペイン語で青を意味するazulからその名前がつけられたように、綺麗な青色を呈します。これは、五員環と七員環が縮環した構造に由来する低いバンドキャップのためです。このアズレンと遷移金属が結合した化合物を合成すれば、金属とアズレンの電子的な相互作用によって新しい化合物が合成できると考えました。そこで、金属と安定な結合を形成させるためにチオアミド基を導入し、以下のようにPdPtの導入を行いました。


 合成した化合物の分子構造を単結晶
X線構造解析によって明らかにして、期待したように金属とアズレンが単結合を持っていることを確認しました。


UV-Visスペクトル測定では、吸収帯が630 nm付近にまで広がっていることが確認されました。これは、光の吸収によってPtからアズレンへと電子が遷移しているためだということを、DFT計算を用いた電子状態の解析によって明らかにしました。また、この計算から得られるシミュレーションと実測のUV-Visスペクトルがよく一致することが分かりました。


研究内容
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