排水・廃液中の重金属分析用新規蛍光性薄膜の構築

 近年、ダイオキシンや内分泌かく乱化学物質など国内外で地球の大気や水質環境の問題に対する関心が急速に高まってきています。大気及び水質環境を定期的に検査・管理していくためには最新の機器による高精度の分析も大切では有りますが、現地での迅速かつ簡便な定性・定量分析法も再認識されてきています。

 測定地点での分析には装置の小型化や繰り返し利用が大切なポイントの一つになります。我々は、重金属イオンに選択的に応答する新しい蛍光性キレート試薬を合成し、それをポリマーに効率良く固定化することにより、蛍光性薄膜を調製しました。

 

 この蛍光性キレート試薬は強い緑色の蛍光を発しますが(下図・左)、Cu, Niなどの重金属イオンと反応すると蛍光性を失います(下図・右)。そのため、膜の発光強度を調べることで廃液中の重金属イオンの定性・定量分析への利用が期待されています。

 


また、ポリマーに固定化したキレート試薬は蛍光性の薄膜を作成することができます。測定に使用した薄膜は、溶離液に浸けると蛍光性が回復することから、現在、選択的な定量分析とリサイクルの両方が可能な蛍光性センサ薄膜としての利用を検討しています。

研究内容
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