光エネルギー変換を目指した機能性高分子の構築−高分子光増感剤の設計−

 緑色植物や光合成細菌中では高効率な光エネルギー変換(光合成)がなされています。光合成に関与するような光増感作用を示す色素(光増感色素)はMg-クロロフィルの他にも数多くあり、それらを利用した人工的な光エネルギー変換に関する研究は昔から活発に行われています。その中で、プロフラビン(3,6-ジアミノアクリジン)は光増感作用を有し水の光還元(光誘起水素発生)等に利用されています。


 一方、高分子触媒は、フィルム等への成型加工性を有し、使用後の分離・回収が容易になる等低分子触媒にない利点が有ります。そこで我々は、光増感機能を有するプロフラビンを高分子主鎖中に組み込んだ新しい高分子光増感剤の構築を試みてみました。

 得られましたポリマーを溶媒に溶かし、メチルビオロゲンと犠牲試薬を加えて光を当ててみますと、溶液の色は徐々に黄色から青色へと変化していきました。これは、メチルビオロゲンの光還元の進行を示しており、これらのポリマーが光増感剤として機能していることが分かりました。


 将来的には、これらのポリマーを薄膜化して、光増感色素系太陽電池の構築や光エネルギーを利用した新しい合成反応等への応用が期待されます。

研究内容
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