Ir錯体の開発と有機EL材料としての評価

 

有機ELの発光材料としてPtIrなどの遷移金属を有する錯体が注目されています。当研究室では、ピンサー型錯体の発光特性に関する研究を行ってきました。今回は、ベンゾチアゾール基を有するピンサー型配位子に着目し、以下の図の(a)に示すようなIr錯体の合成を行いました。まずは効率的な合成方法を確立すると共に、得られた錯体の三次元構造を単結晶X線構造解析によって明らかにしました。その結果、(b)に示すように確かに設計した通りの錯体が得られていることが分かりました。また、この錯体は室温、溶液中において非常に効率的に発光することを見出しました。そのため、共同研究によって有機ELの発光材料としての評価を行うこととしました。作成したEL素子は、単三電池二本の電圧で図(c)のようにオレンジ色に強く発光します。ピンサー型の錯体はこれまで数多く報告がなされていますが、ピンサー型Ir錯体が有機ELの発光材料として利用可能であることを示した報告はあまり多くありません。このことから、今回の成果はピンサー錯体の新たな可能性を示すものといえます。

 

 

(a) Ir 錯体の化学構造 (b) 単結晶構造解析から得られた三次元構造 (c) Ir錯体を実装した有機ELの発光


研究内容

TOP