C-H結合の直接官能基化を利用した新しい重縮合反応

 

 π共役高分子は有機ELや有機薄膜太陽電池など広い分野での応用が期待される材料です。これまでπ共役高分子の多くは、有機金属反応剤(有機すず化合物や有機ボロン酸など)とハロゲン化アリールを、Pd 触媒によるクロスカップリング反応を用いて重縮合することで合成されてきました(式1)。この方法は非常に効率がよく、様々な構造を持つ高分子の合成を可能にしてきました。しかし、モノマーとなる有機すず化合物等を入手するのに多段階の合成を必要とすることや、重縮合の副生成物が有害である点などは改善の余地がありました。一方で、芳香族化合物の C-H 結合を直接反応に用いることができれば、これらの問題を解決した新しい重合反応になります(式2)。さらに、生成する副生成物が無機物のみになるため、有機物である高分子との分離が容易になるという利点もあり、機能材料合成に有用な手法になります。


我々はこれまでに、高い C-H 結合の反応性を有するテトラフルオロベンゼンと二つのBrを持つフルオレン誘導体との重合について検討してきました。そして、種々の条件検討の結果、すずやホウ素の導入を必要とせず、フルオロベンゼンの C-H 結合を反応点とした重縮合反応を開発することができました。



得られた高分子の分子量は3万以上であり、簡単にフィルムを作成することもできます。このフィルムはUVランプを照射すると青色に光ることから、発光材料としての利用が期待されます。

 


研究内容

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