チオフェン誘導体のC-H結合の直接官能基化を利用した重縮合反応

 

 当研究室では、π共役系高分子の新しい合成方法の開発に取り組んでいます。その中の一つとして、通常は不活性な芳香族化合物のC-H結合を反応点として利用した重縮合の研究を進めています。その結果、これまでにテトラフルオロベンゼンのC-H結合を反応点とした重縮合反応を見出しています。この新しい方法を発展させるために、有機太陽電池や有機半導体、有機ELなどの材料に見られるチオフェン骨格を有するポリマーの合成へと展開しました。

 まず、以下に示すビチオフェンモノマーとジブロモフルオレン類縁体の重縮合の検討を行いました。触媒、配位子、反応時間などを検討し、反応条件の最適化をしたところ、わずか3時間で分子量が3万以上の高分子が収率91%で得られました。これは従来の方法に比べて、触媒量の低減、反応時間の短縮などの点で優れています。また、多くの触媒Pd触媒において必須であるリン配位子を用いずに重合が進行する点が特徴です。

 

 

 

 

また、フルオレン以外にも様々なモノマーと組み合わせることが可能であることが分かっています。今後、有機電子デバイスの材料合成に応用されることが期待できます。


研究内容

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