4.有機高分子半導体の光触媒作用の解明と応用


(Interim version)

 本多・藤嶋効果が見出されて以来、様々な半導体光触媒が開発されています。中でも酸化チタン(TiO2)は光触媒活性や光誘起親水性を示す材料として、環境浄化や環境改善素材として実用化されています。また、酸化タングステン(WO3)はエレクトロクロミズムやフォトクロミズム特性を示し、光触媒や光電極材料として広く研究されています。

 一方、ポリアセチレンやポリチオフェンに代表される導電性高分子は、本来、導体というよりは半導体としての性質を示します。そのため、近年、有機EL素子やFET(電界効果型トランジスタ)、プリンタブル集積回路など、無機半導体を高分子半導体に置き換えた次世代電子デバイスの研究が精力的に進められています。また、導電性高分子の光電変換素子(太陽電池)への応用については多くの研究がおこなわれています。

 我々は、導電性高分子の半導体としての機能に注目し、それらの光触媒作用を調べています。ポリチオフェンのような高分子半導体は可視光領域に吸収極大を持つものが多く、可視光に応答する光触媒の設計が可能となります。また、高分子半導体の利用は、ポリマーの特徴を活かした、薄膜化や積層化・大面積フィルムの作成など成形加工性の点でも有効です。効率の良い光化学変換システムを構築することで、紫外光がほとんど含まれない室内光で利用可能な光触媒への応用が期待できます。

ポリアルキルチオフェン(POTh)を使った農薬(iprobenfos)の光触媒分解反応の例

    




これらの研究は、富山大学 長谷川淳名誉教授、東京工業大学 山本隆一教授と共同で行っています。

研究内容

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